-
マイクロスコープとタービン
2020年12月23日(水)
いつもブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
ホームページのアクセス解析を見ていると、「精密治療」を提供している歯科医院を探していて、たどりついたという方が多くおられるようです。
しかしこの「マイクロスコープ」というテーマは、一話だけで語れるものではないので、今後様々な角度からお話しさせていただこうと考えています。今回は、マイクロスコープとタービン(歯を削るためのドリルを回す、あのキュイーンという独特の甲高い音がする器械)の関係についてのお話です。
まずそのことについてお話しする前に、「マイクロスコープを用いる意味」について考えてみましょう。何故「マイクロスコープ」なのか?
メーカーの販売数のデータを見ると、日本全国でマイクロスコープを導入している歯科医院は10%ほどであると考えられます。
しかしマイクロススコープをしっかりと使いこなせず、「導入した」で終わってしまっている医院が多いように感じられます。マイクロスコープは視野が大きく拡大され、肉眼では見えないものを見ることができます。これは歯科医師以外の人間が見ても、「凄い!」と素直に驚くレベルのものです。
しかし「ただ大きく拡大されて見える」ということが目的はありません。
大切なことは「何が見たいのか?」、それを見るためには「どのくらいの倍率で拡大すればよいのか?」ということです。
それぞれの治療に必要な倍率というものがあるので、むやみやたらに拡大しても意味がありません。
そしてさらに、正しい倍率で見えたとしても「そこからどうする?」という話になるのです。電動タービンを使用
ここで、最初に触れた「タービン」の話にもどしましょう。
タービンとは、歯を削るドリルを回転させるための器械です。
当院では「あのキュイーンという独特の甲高い音がする」タービンは使用しません。あの音は、空気の圧力で羽根車を高速回転させ、その回転によりドリルを回している音なのです。
空気圧で羽根車を回しているため、ドリルの回転力(トルク)は強くありません。
ドリルが歯に触れると、その抵抗の方が、羽根車を回す空気の力より強くなります。
結果、ドリルの回転が安定しないことになります。また足元のペダルで空気のON/OFFのみを制御しているため、回転のコントロールはできません。
そのような器材で、精密で正確に歯を削ることはできません。
精密な治療を実現するためにマイクロスコープを使っているのに、そのような特性の器械を使っていては意味がありません。これが当院がタービンを使用しない理由です。
そこで当院では、電動モーターでドリルを回す「5倍速コントラ」を使用して歯を削ります。
モーターであるため回転のトルクは常に一定であり、また足元のペダルで回転のコントロールが可能です。これであれば、精密で正確な歯の切削面を描出することができます。マイクロスコープを用いることが目的ではありません
マイクロスコープは、精密な治療を実現するための、ひとつの手段です。
「マイクロスコープで治療する」=「精密な治療をする」
とは決してならないのです。当院で用いるマイクロスコープ以外の器械・器具・材料にも、全て「精密な治療をする」ための意味があり、理由があり、こだわりがあるのです。
そうして初めて「マイクロスコープによる精密な治療」を実現できるのです。