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歯学とVR ~医療に取り入れる~
2022年11月22日(火)
近年身近になってきたVR技術。
VRは人の感覚器官を刺激し、コンピュータによる仮想空間を現実のように感じさせる技術で、医療分野ではトレーニングシステムの応用により現実の手術に近い感覚を得ることが可能です。(※1)
本日はいつもとは違う視点で、『歯科 × バーチャル』の現状と未来についてお話していきます。
★AR?VR?MR?
「似ていてよく分からない」と思われている方に!
AR(拡張現実)
現実の世界にデジタルの情報を表示します。ポケモンGoがイメージしやすいです。
VR(仮想現実)
現実とはちがうもう一つの世界を作り出し、見たり参加出来たりできます。映画【竜とそばかすの姫】で出てくる世界も仮想世界ですね。
MR(複合現実)
上記二つを組み合わせたものです。現実の世界に仮想世界を実現します。
(AR/VR/MRを総称してXRと呼びます。)
VR/AR/MRは、すでに多くの業種で採用が始まっています。
わかりやすいのは、ゲームなどのエンターテインメント領域ですが、教育分野での各種トレーニングや医療、製造、建築現場など様々なビジネスが動き出しています。
★日本の問題
日本は少子化の加速や平均寿命が延びていることから、超高齢化社会に入ったと言われています。
歯科業界もまた、歯科医師の高齢化や医療法人増加傾向を考えると、地域によっては歯科医師不足が深刻化していくかもしれません。歯科医師国家試験の合格基準引き上げによる合格率の低下もあり、若手の数が伸びず高齢化が予想できます。
よって、都心のような設備や技術を提供できなくなる地域も出てくるでしょう。(※2)
★解決策は?
教育用として、現実世界では見ることができない内部や詳細な部分も、ゴーグルを使用し仮想空間へ入れば経験豊富な歯科医師の技術を観察することができます。教科書やモニターのみでの授業では複雑な部分はイメージがしにくいはずです。
加えて、遠隔の指導も可能なので、若手歯科医師にも高度な技術を指導することが可能となります。
特にインプラント手術は習った技術をもって「はい、どーぞ!」と即日で執刀できるものではないので、VRによってより詳しく、視覚的に指導することができると言えます。
また、患者様やそのご家族の説明用として、オペ前に詳しい説明を行うことも可能です。インプラント手術や抜歯であっても患者様は不安になるものです。その症例や治療、オペの手順などを事前に3次元で説明することで理解が深まり、不安を和らげる効果も期待できるでしょう。
★メタバース
米Metaのメタバース上に歯科医師が集結し、難症例の解説・講義が行われました。(※3)
離れていても国が違っていても、メタバースに集まることができれば、症例や日本にはない器具を見ることができるかもしれませんし、使用体験もできるかもしれません。
歯科医師にその場で相談したり、何かしらのデータを基に診断してもらったりも…未来では可能となってくるのでしょうか。
世界はどんどん進化していますね。
ガラケーからスマホになった時のような驚きと普及が、近い将来やってくるのでしょうか。
★最後に
秋はお天気も気候もよく、お出かけが楽しくなる季節ですね。
東京内でも何カ所かVRを体験できる施設があります。お友達、ご家族などでお出かけしてみても良いですね!心ゆさぶる体験を味わってみるのはいかがでしょうか。
また、余談ですが、先日歯科の世界でも遠隔でリアルタイムでプロフェッショナルから術者に指示を出したという話を伺いました。
難しい歯周病のオペを初めて行うドクターに対して、プロフェッショナルが指示を出し、無事に成功したそうです。
声は勿論のこと、マイクロスコープで覗いている視野を共有し、パソコンで画面に線を書いたものがマイクロスコープ上に表示されるため、ミクロ単位でプロフェッショナルの術式を模倣できたそうです。参考までに☆
※1 メディアス
https://www.medius.co.jp/asourcetimes/06-3/
※2 あきばれ歯科経営
https://akibare-dental.jp/archives/359
※3 Rakuten Mobile