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神経を残す治療方法|MTAセメントについて紹介します
2021年3月24日(水)
むし歯が進行して、神経や血管に到達した場合「根管治療」をする必要があります。しかしMTAセメントと呼ばれる特殊な歯科用セメントで、神経や血管を生きたまま保存する治療ができます。今回はMTAセメントについて紹介します。
■MTAセメントとは
MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントは1998年にアメリカで販売され、日本では2007年に販売を開始した歯科用セメントです。成分は建築用セメントと類似しており、粒子を細かくし、有害物質を取り除いたものが歯科用セメントとして使用されています。
MTAセメントは水と反応して膨張し、封鎖性が高いことから、むし歯が神経や血管に到達した歯や、ひびが入った歯を封鎖するために使用します。
MTAセメントには3つの特徴があります。
・封鎖性が高い
・人体に馴染みやすい
・細菌を寄せつけない
■MTAセメントで歯の神経を残す処置ができる
むし歯が進行して神経と血管に到達しても、神経と血管が残せる条件に合致すれば、MTAセメントで封鎖して神経と血管の温存ができます。
神経に到達したむし歯では細菌感染の予防と、痛みを抑えるために神経と血管を抜く必要があります。しかし神経や血管を抜いてしまうと、栄養と酸素が行き渡らず、歯の強度が劣ります。結果、歯の寿命が短くなります。
多少の深いむし歯や神経まで到達するようなむし歯でも、MTAセメントで封鎖することで、神経と血管を残したまま保存することが可能です。
MTAセメントは全ての症例に対して使用ができるわけではありません。むし歯を除去した際、神経と血管の生死を判断し、神経と血管が残せない場合は、精密な根管治療が大切です。
■MTAセメントは保険外治療です
MTAセメントは非常に高価です。また封鎖性を高めるために「マイクロスコープ」、場合によっては細菌の侵入を防ぐために「ラバーダム」といった特殊な器具や機材を使用して、治療を行います。そのため保険外治療になりますが、歯の寿命を延命し、将来歯を抜く可能性が低くなります。
■歯の神経と血管を可能なかぎり、残しましょう
歯を抜いた場合、ブリッジやインプラントにする選択肢がありますが、噛むことはできても、「柔らかい」「硬い」といった感覚がわかりません。どんなにいい治療をしても、天然の歯に勝るものはないのです。
むし歯が神経と血管に到達した時点で、根管治療を行うことも正しい選択肢の一つですが、神経を抜いてしまうと2度と元には戻りません。神経と血管を温存できるとしたら、残してみませんか?
MTAセメントをご希望の方は、お気軽にご相談ください。