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神経を残す治療方法|MTAセメントについて紹介します
2021年3月24日(水)
むし歯が進行して、神経や血管に到達した場合「根管治療」をする必要があります。しかしMTAセメントと呼ばれる特殊な歯科用セメントで、神経や血管を生きたまま保存する治療ができます。今回はMTAセメントについて紹介します。
■MTAセメントとは
MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントは1998年にアメリカで販売され、日本では2007年に販売を開始した歯科用セメントです。成分は建築用セメントと類似しており、粒子を細かくし、有害物質を取り除いたものが歯科用セメントとして使用されています。
MTAセメントは水と反応して膨張し、封鎖性が高いことから、むし歯が神経や血管に到達した歯や、ひびが入った歯を封鎖するために使用します。
MTAセメントには3つの特徴があります。
・封鎖性が高い
・人体に馴染みやすい
・細菌を寄せつけない
■MTAセメントで歯の神経を残す処置ができる
むし歯が進行して神経と血管に到達しても、神経と血管が残せる条件に合致すれば、MTAセメントで封鎖して神経と血管の温存ができます。
神経に到達したむし歯では細菌感染の予防と、痛みを抑えるために神経と血管を抜く必要があります。しかし神経や血管を抜いてしまうと、栄養と酸素が行き渡らず、歯の強度が劣ります。結果、歯の寿命が短くなります。
多少の深いむし歯や神経まで到達するようなむし歯でも、MTAセメントで封鎖することで、神経と血管を残したまま保存することが可能です。
MTAセメントは全ての症例に対して使用ができるわけではありません。むし歯を除去した際、神経と血管の生死を判断し、神経と血管が残せない場合は、精密な根管治療が大切です。
■MTAセメントは保険外治療です
MTAセメントは非常に高価です。また封鎖性を高めるために「マイクロスコープ」、場合によっては細菌の侵入を防ぐために「ラバーダム」といった特殊な器具や機材を使用して、治療を行います。そのため保険外治療になりますが、歯の寿命を延命し、将来歯を抜く可能性が低くなります。
■歯の神経と血管を可能なかぎり、残しましょう
歯を抜いた場合、ブリッジやインプラントにする選択肢がありますが、噛むことはできても、「柔らかい」「硬い」といった感覚がわかりません。どんなにいい治療をしても、天然の歯に勝るものはないのです。
むし歯が神経と血管に到達した時点で、根管治療を行うことも正しい選択肢の一つですが、神経を抜いてしまうと2度と元には戻りません。神経と血管を温存できるとしたら、残してみませんか?
MTAセメントをご希望の方は、お気軽にご相談ください。
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咬筋ボツリヌス治療について
2021年3月24日(水)
顎や肩こり・頭痛など、違和感のある方はご相談ください。
まずは咬筋ボツリヌス注射治療の効果についてです。
顎関節症の緩和・就寝中の歯ぎしりの緩和・歯ぎしりによる歯の磨滅抑制・咬合圧による脱離、破損防止・食いしばりの緩和・食いしばりで起こる肩こり、頭痛などの改善・ガミースマイル改善。口角挙上 etc..
咬筋とは、エラの部分にある咀嚼筋の一つで、食事をする時に使う大切な筋肉です。咬筋が必要以上に強くなることを咬筋肥大と言います。
その咬筋が肥大すると…、
歯ぎしりや食いしばりなどが原因で咬筋が肥大することにより、歯が欠ける、すり減る、マウスピースが割れるなどの悪影響を及ぼします。
中には、頭痛、肩こり、首こりなどの症状を訴える方もいらっしゃいます。
咬筋の強さは、他の人と比較ができないため自覚症状がない方がとても多いです。簡単にチェック出来ますのでご相談ください。
歯科医院では口腔内を診療することにより、さらに詳しく調べることができます。
治療時間は15分程度(表面麻酔をする場合は40分程)で終了します。咬筋へ何箇所か注射をするだけとなっており、とても簡単に食いしばりは歯ぎしりが改善されます。
詳しくは当院へお問い合わせください。
📞03−3922−2416
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保険の根管治療と精密根管治療の違い-後編-
2021年2月16日(火)
今回は保険の根管治療と精密根管治療の違いの続きをお伝えします。
4・被爆量の少ない歯科用コーンビームCTによる診査・診断
通常、保険の根管治療では、歯のエックス線写真を元に治療を行います。しかし、二次元では根っこの形状や症状などの確認に限界があります。
精密根管治療では、歯科用コーンビームCTで撮影し、情報量の多い三次元の画像を元に治療を行います。
5・特殊な消毒機材を使用した根管内の消毒
ファイルで機械的に根管内の汚れを掃除した後は、根管内に残った細菌を消毒します。根管内の消毒は予後に大きく関わるため、精密根管治療では保険では使用ができない特殊な消毒機材を使用します。
6・保険では使用できない根管充填剤と根管充填方法
根管充填とは根管から汚れや細菌を除去した後に、充填剤を細部までしっかり詰める処置のことです。
この処置は根管内を清潔状態にするために行います。そのため、充填剤の入れ方が甘いと細菌に再感染してしまいます。
精密根管治療の根管充填は、高い治療効果が報告されている特別な充填剤を使用し、専用の充填方法を行なっております。
7・強く柔軟なグラスファイバーコア
根管治療で神経を取り除いてしまった歯を補強するために、土台を作製する必要があります。見えない部分ですが非常に重要な役割を持っています。
保険ではメタルコアやレジンコアといった土台を作製することがありますが、強度、耐久性、柔軟性が劣るなど多くのデメリットがあります。
精密根管治療ではグラスファイバーで土台づくりをします。
グラスファイバーコアは
・強度がある
・耐久性に優れている
・柔軟性があるため力が加わっても歯が割れるリスクが少ない
・メタルフリーの為金属アレルギーの心配がない
・白く透明感があるので、被せ物をした際に自然な色の再現ができる
など多くのメリットがあります。
前編と後編にわたって保険の根管治療と精密根管治療の違いを紹介しました。精密根管治療は根管治療の成功率を高め、歯の寿命を伸ばすことが可能です。
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保険の根管治療と精密根管治療の違い-前編-
2021年2月16日(火)
突然ですが、建物を立てるときに「基礎工事は非常に重要な工程」と聞いたことはありませんか?どんなに見栄えのいい建物を建てても、基礎工事をしっかり行わないとすぐに建物に不具合を生じ、長持ちしません。
これは歯の根っこの治療(根管治療)と被せ物(補綴治療)と同じことがいえます。
建物である被せ物を長持ちさせるためには、基礎工事である「根管治療」が非常に大切です。そして保険の根管治療と、精密根管治療では予後に大きな差が生じます。
そこで「保険の根管治療と精密根管治療の違い」を前半と後半に分けてご紹介します。
保険の根管治療には限界がある
日本の保険制度は全ての人が受けることができる素晴らしい制度です。しかし、保険制度は様々な制限があります。例えば、治療内容、使用する器具、薬品、材料などが細かく決められており、制限を超えて治療をすることが困難です。
通常、保険の根管治療では
・マイクロスコープを使用しないため細部が「見えていない」
・ラバーダムを使用せず、唾液や細菌の感染を「防ぐことができない」
といった精密な根管治療に必要不可欠な処置が行えない点があり、いい被せ物をしても早期に歯の根に問題が生じ、再度治療が必要とする症例が後を絶ちません。
保険の治療と精密根管治療の違い
具体的にどのような精密根管治を行なっているか7つの項目にわけて紹介します。
1・熟練の技術を持った歯科医師による歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)での治療
マイクロスコープを使用しない根管治療は、肉眼で歯科医師の経験や勘を頼りにしています。精密根管治療ではマイクロスコープを使用し、肉眼では見えない根管や細部を見ながら治療を行います。
マイクロスコープは「見る」他に「知識と技術」が必要です。
当医院の歯科医師は熟練した技術を持っており、正確で精密な治療が可能です。
2・ラバーダム防湿で唾液の侵入を防ぎ細菌感染を予防
当医院では精密根管治療の際は、必ずラバーダム防湿を行っています。
精密根管治療では無菌的処置が非常に重要です。根管内に菌が侵入してしまうと根管治療の成功率は著しく低下します。いくらCTやマイクロスコープがある歯科医院でも、ラバーダム防湿をしない根管治療はほぼ意味がありません。
ラバーダム防湿は海外でほぼ100%行われており、日本の使用率は19%。保険治療でラバーダム防湿を行なっている歯科医院はほぼゼロに等しいです。
3・患者様専用のファイル(根管治療機器)を使用
ファイル(根管治療機器)とは、根管内を掃除する際に使用する器具です。繰り返し使用すると金属疲労を起こし、切削力の低下やファイルが根管内で折れてしまうなど、トラブルを引き起こします。
精密根管治療では患者様専用の新品ファイルを使用し、より安全で質の高い治療を受けていただくことが可能です。保険治療では「不可能」ですが精密根管治療では「可能」にすることができます。
続きは保険の根管治療と精密根管治療の違い-後編-でご紹介します。
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銀歯を入れるのは日本だけ!|当院では患者さんと一緒に治療の「完走」を目指しています
2021年1月29日(金)
皆さまのお口の中に、保険の銀歯がありませんか?
歯科治療を受けるときに、「保険が効くから銀歯」にしたという方も多いのではないでしょうか。
銀歯は保険で認められているので、安心と思われている方も多いはず。
しかし、「銀歯を入れるのは日本だけ」ということをご存知でしょうか?銀歯は人体に悪影響を及ぼすことから、海外では使用が禁止されている国もあります。
日本では、保険の銀歯治療をする歯科医院が多く存在しています。
しかし、患者さんからは「説明を受けていたら銀歯にはしなかった」という声も多く聞きます。
日本の保険制度では治療の説明に時間を割くことができず、保険治療には限界があるのです。
銀歯の下では虫歯が進行している
近年、NHKの番組で「銀歯は虫歯になりやすい」と報じられました。歯科の診療では銀歯を外すと銀歯の下では虫歯が進行している状況下にあることがよくあります。
銀歯の中が虫歯になる原因の1つに、肉眼レベルの治療があげられます。
肉眼レベルの診療では虫歯の取り残しや、被せ物と歯の段差を確認することができません。肉眼レベルでは、歯の小さな変化を見過ごされてしまう可能性があります。
当医院では治療の際にマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用し、肉眼では確認できないわずかな虫歯を発見し、精密で正確、確実、安全性の高い治療を行っています。
保険の銀歯のリスク
銀歯には虫歯になりやすい他に、以下のリスクがあります。
・金属アレルギーを起こす可能性がある
銀歯に使用されている金銀パラジウム合金には金12%、パラジウム20%、銀50%前後、銅20%前後、その他の金属からなる合金です。
パラジウムは金属アレルギーを引き起こす可能性が高いとわかっています。
・被せた銀歯から虫歯になる
銀歯を装着する際に使用するセメントと歯の間に菌が入り込んでしまったり、セメントが劣化してしまったりすると虫歯菌が繁殖し、銀歯の下で虫歯が進行します。
・歯周病になりやすい
銀歯に使用される金銀パラジウム合金は、表面が非常に傷がつきやすい素材でできています。
傷がついた表面には汚れや菌がつきやすく、歯周病の原因になります。
・メタルタトゥーを引き起こす
長年銀歯を入れたままにしておくと、金属イオンが溶け出して歯肉に染み込み、歯肉が黒くなるメタルトゥーを引き起こします。
・ガルバニック電流が起きる可能性がある
銀歯が2つ以上入っている場合、唾液を介して接触するとピリッと電流が走る現象が起こります。
痛み、違和感、金属の味を生じることがあり、金属の腐食の原因にもなります。
当医院では患者さんと一緒に治療の「完走」を目指しています
銀歯のリスクを知り、銀歯を全て取り除きたい場合は「治療のやり直し」が必要になります。
しかし、治療のやり直しには
・長い時間
・多くの経済的な負担
が発生します。
患者さんの中には早く治療を終わらせたいがために、短期間で治療を希望される方もいらしゃいます。しかし、毎週1本ずつのペースで保険外の治療を受けると、身体的、経済的に負担が大きく、嫌になって途中で治療をやめてしまう可能性があります。
しかし、月に1本ずつゆっくりと治療を行うと、時間はかかりますが、身体的、経済的な負担が大きく軽減できます。
歯科治療はマラソンと同じで、お口の中の理想の状態=ゴールに向かって自分のペースにあった治療をすることが非常に大切です。
当医院では患者さんに「完走する治療を提供する」と同時に、「経済的な負担を軽減できる工夫」も行っています。
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当院は歯の根っこの治療に「ラバーダム防湿法」を症例に応じて使用しています。
2021年1月29日(金)
当院では歯の根っこの治療に、ラバーダム防湿法を必ず用います。根っこの治療の際に写真のようなゴムをかけられた方は少ないはずです。
それもそのはず、ラバーダム防湿法を行っている歯科医院は約5%と少ないのが現状です。
虫歯が進行し、神経に達してしまった場合は神経を全て取り除き、綺麗にしなければなりません。神経を取り除き掃除した後は根っこの中に薬とふたをし、最終的に被せ物や詰め物をして治療が終了します。
この神経を取り除く際や根っこの掃除をする際に用いられるのがラバーダム防湿法です。ラバーダム防湿法には4つの役割があります。
・感染予防対策
・小さな器具の落下防止
・粘膜保護
・視野の確保
ラバーダム防湿法はあなたの大切な歯を、唾液の中や口の中にある菌から守るための感染予防対策です。 そもそも虫歯とは、口の中にある菌が原因です。
その菌は常在菌と呼ばれているもので、ほとんどの人の口の中に存在しています。食生活の乱れや、歯磨き不足などで汚れが放置されると菌が繁殖し、虫歯になります。
ラバーダムを無しに根っこの治療をすることは、唾液や口の中の菌が根っこの中に侵入を許してしまうのです。治療後すぐには何もなくても、数年後には歯の根っこの菌が繁殖してまい、予後が悪くなります。
ラバーダム防湿法には粘膜保護、小さな器具の落下防止の役割もあります。根っこの治療には特殊な薬剤を使用します。ラバーダム防湿法を行うことによって薬剤による化学的火傷を防ぐことができます。
歯が露出している部分が治療する歯です。ラバーダムを用いることで視野がはっきりわかります。歯の根っこの中に唾液や菌が侵入しないようにクランプという器具を使って歯とラバーダムをしっかり固定します。
ラバーダムを使用した治療は、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)の使用した根っこの治療よりも、ラバーダム防湿法を使用した方が、予後がいいといわれています。 歯科治療の先進国であるアメリカでは、約90%以上の歯科医院でラバーダム防湿法が行われています。
ラバーダム防湿法は根っこの治療を成功させるために必要不可欠です。当院では「長期予防的低介入治療」という治療信念に基づき、根っこの治療時には症例に応じてラバーダム防湿法を用います。
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マイクロスコープとタービン
2020年12月23日(水)
いつもブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
ホームページのアクセス解析を見ていると、「精密治療」を提供している歯科医院を探していて、たどりついたという方が多くおられるようです。
しかしこの「マイクロスコープ」というテーマは、一話だけで語れるものではないので、今後様々な角度からお話しさせていただこうと考えています。今回は、マイクロスコープとタービン(歯を削るためのドリルを回す、あのキュイーンという独特の甲高い音がする器械)の関係についてのお話です。
まずそのことについてお話しする前に、「マイクロスコープを用いる意味」について考えてみましょう。何故「マイクロスコープ」なのか?
メーカーの販売数のデータを見ると、日本全国でマイクロスコープを導入している歯科医院は10%ほどであると考えられます。
しかしマイクロススコープをしっかりと使いこなせず、「導入した」で終わってしまっている医院が多いように感じられます。マイクロスコープは視野が大きく拡大され、肉眼では見えないものを見ることができます。これは歯科医師以外の人間が見ても、「凄い!」と素直に驚くレベルのものです。
しかし「ただ大きく拡大されて見える」ということが目的はありません。
大切なことは「何が見たいのか?」、それを見るためには「どのくらいの倍率で拡大すればよいのか?」ということです。
それぞれの治療に必要な倍率というものがあるので、むやみやたらに拡大しても意味がありません。
そしてさらに、正しい倍率で見えたとしても「そこからどうする?」という話になるのです。電動タービンを使用
ここで、最初に触れた「タービン」の話にもどしましょう。
タービンとは、歯を削るドリルを回転させるための器械です。
当院では「あのキュイーンという独特の甲高い音がする」タービンは使用しません。あの音は、空気の圧力で羽根車を高速回転させ、その回転によりドリルを回している音なのです。
空気圧で羽根車を回しているため、ドリルの回転力(トルク)は強くありません。
ドリルが歯に触れると、その抵抗の方が、羽根車を回す空気の力より強くなります。
結果、ドリルの回転が安定しないことになります。また足元のペダルで空気のON/OFFのみを制御しているため、回転のコントロールはできません。
そのような器材で、精密で正確に歯を削ることはできません。
精密な治療を実現するためにマイクロスコープを使っているのに、そのような特性の器械を使っていては意味がありません。これが当院がタービンを使用しない理由です。
そこで当院では、電動モーターでドリルを回す「5倍速コントラ」を使用して歯を削ります。
モーターであるため回転のトルクは常に一定であり、また足元のペダルで回転のコントロールが可能です。これであれば、精密で正確な歯の切削面を描出することができます。マイクロスコープを用いることが目的ではありません
マイクロスコープは、精密な治療を実現するための、ひとつの手段です。
「マイクロスコープで治療する」=「精密な治療をする」
とは決してならないのです。当院で用いるマイクロスコープ以外の器械・器具・材料にも、全て「精密な治療をする」ための意味があり、理由があり、こだわりがあるのです。
そうして初めて「マイクロスコープによる精密な治療」を実現できるのです。
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デジタル技術を用いたインプラント治療
2020年12月23日(水)
今回は、インプラント治療についてお話します。
「インプラント治療」という名称は、一般にもかなり浸透してきています。
新聞や雑誌でインプラント治療が取り上げられていたり、テレビで芸能人が治療を受けたという話をしているのを、見たり聞いたりしたことはありませんか?
もしかしたら「実際に治療を受けた」という方も、この記事を読んでいただいている中にはいるかもしれません。インプラント治療とは、簡単に言えば、歯を失ってしまった箇所に人工の歯根を埋め込んで、その上にセラミックなどで作られた歯を装着するという治療法です。
この治療も、練馬区大泉学園にじいろマイクロスコープセラミック歯科の提唱する「長期予防的低介入治療」の一つになります歯を失ってしまった場合の3つの治療法
もし歯を失ってしまった場合、原則的に治療法は3つしかなく、その中から選択する必要があります。
①歯を失った部分に入れ歯を装着する(義歯治療)
②歯を失った部分の両隣りの歯から連結した修復物を装着する(ブリッジ治療)
③歯を失った部分に人工の歯根を埋入してその上に修復物を装着する(インプラント
①の義歯治療では、入れ歯のバネを周りの歯に引っ掛ける必要があります。これは周囲の健康な歯に大きな負担をかけることになります。
②のブリッジ治療では、そもそもブリッジを装着するために、両隣の歯を削らなくてはなりません。本来健康であるはずの歯を削ってしまうので、その歯の寿命は確実に短くなります。
※①と②の治療は、周囲の歯の健康に大きなリスクを与えることになります。
一方③のインプラントは、他の歯に悪影響を与えません。単体で完結する治療になるのです。当院の「長期予防的低介入治療」という考えに、もっとも合致する治療といえます。
インプラントの安全性を高めるCT
しかしこのインプラント治療は、その危険性を指摘する報道が散見されるようになっているのも事実です。
漠然と「危険な治療だ」と感じていらっしゃる方もいると思います。そこで治療の安全性を高めるために、最近では治療前にCT撮影を行って診断を下すことが一般的になってきました。
そもそも人のあごの骨の中には血管や神経が入り組み、骨の厚みが薄くなっている箇所もあります。その中に人工の歯根を埋入するため、危険性が高いのです。
CTでは、従来のレントゲンの様に平面ではなく、三次元の立体画像としてあごの骨を撮影することができます。
そしてパソコンのシミュレーションソフトを用いて、血管や神経を避け、骨の中にしっかりと人工歯根を埋入できる、安全で正確な位置・角度・距離を割り出すことができるのです。デジタル技術の進歩により、インプラント治療の安全性が非常に増しています。
シミュレーション通りにインプラントを埋入するために
しかし、そうして安全で正確な埋入方法を割り出したとしても、そのシミュレーションどおりに埋入できなければ全く意味がありません。
フリーハンドで人工歯根を埋入してしまっては、その理想的な位置・角度・距離を実現することは不可能です。
そこでパソコン上でシミュレーションした内容(人工歯根を埋入する位置・角度・距離)のとおり埋入できるよう、ガイド(サージカルステント)を必ず制作します。
このガイドに沿って人工歯根をあごの骨に埋入すれば、シミュレーションで割り出した位置・角度・距離のとおり、安全に施術を行うことができます。現状では、このガイドを用いたインプラント治療は一般化しおらず、CT撮影をすることだけがクローズアップされているのが現状です。
CT撮影はあくまで診断であり、その診断どおりに正確に施術を行うことが重要です。当院では最新のデジタル技術を用いて、診断から施術まで一貫した治療を実現するために、インプラント治療では100%このガイドを用いています。
練馬区大泉学園にじいろマイクロスコープセラミック歯科では経験豊富なインプラント認定医による無料相談、無料メール相談を行っております。ご希望の方は、以下よりお申し込みください。
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予防についての考え方―長期予防的低介入治療
2020年11月18日(水)
前回はブログで「負のデンタルスパイラル」のお話をしました。
このスパイラルの進行を可能な限り止める、遅らせるためには、予防が重要です。近年では多くの歯科医院が「予防歯科」をうたい、定期的な医院でのクリーニングや自宅でのケアを推奨しています。
もちろん当院でも、3ヶ月~半年に一度を目安に、予防のための定期検診や定期的なクリーニングをお願いしています。
しかし、この予防もやり過ぎては逆効果になります。
毎月の様にスケーリングでガリガリと歯の歯石を削り、自宅でも常に過剰なケアを行っていては、オーバートリートメントとなり逆に歯を傷めることになってしまいます。そこでこの予防については、ケア以外にも重要な要素がもう一つあるのです。
それは「治療の精度」です。
「負のデンタルスパイラル」の項で、「人間の身体は生きている以上歯と修復物は自然と合わなくなってくる、そしてそこからむし歯再発してしまう」とお話しました。
しかし歯と修復物の隙間を限りなく小さく、適合のよい治療(=精密な治療)を行えば、歯と修復物の良好な状態は長く続きます。当院ではマイクロスコープを用いて精密な治療を実現しているので、本来であれば治療後数年でむし歯が再発してしまうところを、十年、数十年単位で健康な状態を保つことができるようになるのです。
このような状態の歯であれば、そこまで予防に神経質にならなくても、一般的なケアだけでお口の中の健康を保てるようになるのです。
この治療のあり方を「長期予防的低介入治療」と呼んでいます。
精密な治療は予防につながるのです。 -
負のデンタルスパイラルについて
2020年11月17日(火)
一度治療した歯が再びむし歯になってしまう、そんな経験をする方が多くいらっしゃいます。
「治療後はしっかり歯みがきをしていたのに、むし歯が再発してしまった」という声もよく聞きます。
このブログを読んでいて、「自分もだ」と思い当たる方もいるかもしれません。多くの人は「むし歯の治療が終われば、歯は健康な状態にもどって一安心」と考えていると思います。
しかしそんな期待に反して、むし歯は再発してしまいます。では何故そのようなことが起きるのでしょうか?
むし歯の治療とは、基本的にむし歯になってしまった部分を削って、修復物を装着します。
これは身体にとっては、人工的な異物を取り付けられていることになります。一方、人間の身体は生きています。生きている限り、身体は常に変化していきます。
髪の毛や爪は伸びていきますし、肌も加齢とともに変質していきます。
骨の形や硬さも一定ではなく、常に変化しています。それと同じように、生きている限り歯質も当然変化していきます。
しかしそこに装着された人工の修復物の状態は変わらないため、やがて歯の状態と合わなくなってきてしまいます。
そして歯と修復物の間に小さな隙間が生まれ、そこにむし歯菌が入り込み、再びむし歯になってしまうのです。つまりむし歯治療は半永久的なものではなく、元々再発のリスクが高いものなのです。
むし歯を再治療したことがある方は思い出してみてください。
最初は小さなつめ物だったものが、再発後は歯をさらに大きく削って大きなつめ物になったと思います。これを繰り返していけば、歯はやがてかぶせ物になり、最終的には抜け落ちてしまいます。これが「負のデンタルスパイラル」です。
大切なことは、まずこのスパイラルに乗らない(=むし歯にならない)こと。
そして乗ってしまったのであれば、このスパイラルの進行を可能な限り止めること、遅らせることです。そのことについては、次回の「予防についての考え方―長期予防的低介入治療」でお話いたします。